【BEZERA I 開発ヒストリー①】副長が購入してきたエスプレッソマシンの部品を一つひとつ取り外していく中で、エスプレッソマシンの構造は理解することができました。しかし、それはあくまでもどのように造られているかを理解しただけであって、世界のカフェで評価されるエスプレッソマシンとはどういった部分が優れているのかは分かりませんでした。最終的には、私たちが造るエスプレッソマシンから抽出されるコーヒーでお客様を笑顔にしたい。そのためには、もう一人欠かせない人物が存在しました。エスプレッソマシンを操るバリスタの方々です。バリスタが信頼を寄せられるマシンでなければ、私たちの目標は達成できない。バリスタが感動するマシンを作る! もう一つの目標が加わりました。
既存の仕事を動かしていく中、BEZERA Iの開発メンバーは8人が選出されました。残るは、バリスタへの交渉です。まずは、コーヒー好きのメンバーが、通っているカフェの店長に話を聞きました。海外で行われているコンテストのことなど、バリスタとはどのようなものなのか少しずつ理解を深めていきました。中でも有益な情報は、バリスタマガジンの存在でした。表紙を飾るのは有名なバリスタ達で、彼らへの交渉が一つの手段だと分かりました。翌日、バリスタマガジンを購入するとアドバイザーとして可能性のあるバリスタを探しはじめました。ところが、これまでに表紙を飾った日本人はたった一人だけ。しかも、その方は現在アメリカに在中しており、バリスタマガジンから選出する方法はあっと言う間に頓挫しました。
しかし、社運をかけたプロジェクトを任された私たちが、これくらいのことで頭を抱えているわけにはいきません。一つの登山道が閉鎖されただけで、他にも登山道はあるはずです。その入口を探せばいい、メンバー全員がそんな想いでした。
次への一歩を踏み出すためのミーティングが、繰り返し行われていまし。忘れもしません、3回目のミーティングを行なっていた際にコーヒー好きのメンバーが「メンバー全員が美味しいと思えるエスプレッソを提供している店を探しませんか」と唐突に言い出しました。理由を尋ねると、「私たちは開発者ですが、立場を変えればお店を訪れる客です。つまり、私たち自身が笑顔になれるエスプレッソこそゴールですよね」。登山道の入口が見つかった瞬間でした。エスプレッソが美味しい、という評判の店をネットで検索し、まずは8店舗を選びバラバラで味を確認しに行きました。ゴールは全員が美味いと思うこと、担当したメンバーの口にあわなければ候補から外し、美味いと思えば次に違うメンバー味を確認する。その繰り返しでした。10日間で述べ80店舗を調査、そしてようやく全員が美味いと感じるエスプレッソに巡り会えました。同時に、バリスタ鈴木誠也氏との出会いでもありました。
BEZERA I 開発ヒストリー②へ続く